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自作小説やアニメの評論
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度胸もなく日々不安に苛まれているだけなのだ。
母の気持ちも分かるが、たとえ私が無事どこかに就職したとしても、
こんな中年太りでさえない男にどんな女性がついてくる。
親子で食べて行ければと言うくらいがせいぜいの給金で、
そんな男は私が女でも願い下げだ。
今の女性は結婚願望が強いらしい。
就職率が低く食べて行く道としての選択のようだ。
誰もが稼ぎのいい男を選ぶのは当たり前だ。
私は母の願いをかなえてやることはできない。
もっと早くにこのことに気がつき、可能性がある若いころに、熱心に
見合いしていれば、良かったのだろうか?
怪しげなネットでの見合いサイトで出会い結婚した同僚を馬鹿にしていたが、
あのころの自分こそ勇気のない馬鹿だった。
笑われるべきは自分なのだ。
今の私があの頃に戻れたら、もっと違った人生を歩めただろうか?
全ては後の祭りであり、時はもう取り戻せずにただ老いていくのだ。
楽しくもなくただ生きて、何も出来ずに侘しい人生のまま終わるのだ。
今は母のシワだらけの手が必死に働いて残した貯金と、年金で食いなぐ日々。
悲しみが心を蝕み、動きを鈍くする。
水揚げされた深海の魚のように、突然水圧から解放され、慣れない環境に適応できず
すぐに死んで行く。
新しい明日を生み出す力などない
人は怠惰で努力のない人間の落ち先だとばかにするだろう。
しかし疲れていたのだ、、希望もない明日に何をすればいいのか。
久しぶりに高校時代からの友人の藤代から電話が掛かって来た。
「俺、今度東京に行くことになってさ、当分帰ってこないから一度会いたいと思って」
「栄転か、おめでとう」
 からかうように言った。
 気まずいような沈黙が続く、私はその途端まずいことを言ったのだと知った。
「栄転だったら良かったんだが、、リストラだ」
「えっ?あんな大会社が?」
 彼の働く会社は誰もが知っている大手企業で、業績悪化のニュースは無かったはずだ。
「関係ないさ、不況対策だと言って俺のいる部門はなくなることになって、、他に行けると思ってたら、肩たたきだ」
「なんだよそれ」
「俺たち下っ端は切られたが、上の奴らは何故か栄転していったよ」

 
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この男も地道に暮らしていたのだ。
しかし、バブル崩壊以後、会社は人を紙くずのように捨て、金持ちと貧乏人を二極化すべきという経団連の方針で、
地道にこつこつ働いて来たもの達をも地獄へ突き落とした。
いろいろな事情をかかえホームレスになった人があの公園で暮らしているらしい。
俺も一歩間違えば同じ境遇になってしまうだろう。
胸の締め付けられる思いで、老婆の話を聞いた。
世界は冷酷で矛盾と差別で出来ている。
テレビや学校で教える平等など全くの虚構でしかない。
政治家や官僚や企業家は自分の取り分のみに血道をあげ、タンス貯金を吐き出させようとがんばっている。
老人がやっと貯めた金を吐き出させようと必死だが、こんな不況の中だれが出すのかも考えない。
その金を吐き出させるために、多くのホームレスを生み出しても平気なのだ。
時代は混沌として、未来は明るいものではない。
この年齢ではいくあても、再生も日本では許されていない。
バスから降りて我が家へ向かう道はこれまでになく遠く、足が重く感じられた。
こうやって絶望の中いつまで生きて行くのだろう。
通り過ぎる商店街のショーウインドウに自分の姿を見る。
くたびれた中年の男の瞳には何の光も宿ってはいない。
未来のない暗い顔がある。
 
我が家と言っても公団住宅の一室が今の住まいだ。
いつかは一戸建てと無理を承知で母は願っていたが、今は夢さえ見ることができない。
家賃が安いのが救いだ。
「おかえり、どうだった」
ドアを開けると母がパートから帰っており朗報はないかと駆け寄ってくる。
「いや、駄目だった」
「良く捜したの?」
「ああ」
「いい年の男がぶらぶらして、早くお嫁さんも貰わないとならないのに」
 母は矢継ぎ早に言いたいことをぶつけてくる。
「うるさい」
 怒鳴りつけることも初めはあったが、今はそんな気力もなく、母の言葉の飛礫を聞き流す。
 こんな境遇でやけになり、パチンコやアルコールに逃げるわけでもないのだから、少しは労って欲しい。
何の収穫もなくバスに乗り家路に着いた。
バス代もばかにならないが、しかし頼りといえばそこしかない。
 ただ沈鬱な思いと、ひしひしとした絶望に抑えつけられながら、すぎて行く景色を見ていた。
 通り過ぎる人々は皆、平穏な日常を営んでいるように見える。
 私のような苦しみはあの人々には無縁なのだろうと思うと、絶望と羨望で胸が痛くなる。
 あるバス停で、松葉杖の老婆が乗車しようとするのをみかねて、男が補助していた。
 私も思わず駆け寄り老婆の手助けをしたのだが、他の乗客や運転手は知らぬふりだった。
「それじゃ、お願いします」
 男は乗車せずに私に老婆をゆだねた。
 彼の態度は礼儀正しく好感の持てる態度だったが爪は真っ黒く、背広も薄汚れた風で異臭を放っている。
 その時彼がホームレスだと気がついた。
「ありがとうございます」
 老婆はしきりに頭を下げ、席に腰掛けるとほっと息をついた。
「親切な人ですね」
 ホームレスの行為に感動した私は、思わず老婆に話掛けた。
「いつもあの方に助けていただくんですよ」
 老婆の話によると、バスが老婆に気づかずに、通りすぎることが幾度かったと言う。
 バス停の近くの公園に寝泊まりしているホームレスの男がみかねて、老婆が来るとバスを停めて乗せてくれるそうだ。
「あの方は本当に親切なんです、なのに世間はどうなっているのか」
 老婆はバスを待つ間に彼と話すらしい。
 先ほどの男は、突然のリストラに合ったらしい。
 会社に勤めてたころに、家を買ったそうだ。
 安くててごろだからローンの返済も楽に思えたらしい。
 だが、リストラされてからは仕事がなかった。 
 アルバイトや派遣もボーナスをあてにしていた返済計画のために、金が足りない。
 家を売ったが二足三文でローンが残った。
 生活していけなくて結局妻や子と別れ自己破産したのだ。
 離婚すれば妻子は生活保護にかかれる。
 バイトや派遣をしてなんとかローンを返済していたが、身体を壊して病院代がかさみ入院中に家賃が払えないために借家も撤去されていた。
 住所もなく身体も癒えてない彼はホームレスとよぎなくされた。
 こんなはずではなかったと誰もが思うだろう。
 みんな幸せになろうと努力を続けて来た。
 一部の人間と企業だけが景気がいいといいながらも、底辺の人間は切り捨てられ、
 さらなる不況が人を殺していく。
 昼だと言うのにカーテンを閉め、薄暗いどんよりとした空気の中で、
私はぼんやりとしていた。
 テレビの前に座っているだけの、老人のような毎日は、
私の人生のようだと思う。
 スポットライトを浴びるのは常に他人であり、
ふとしたスキに彼らは画面の向こうで、スポットライトを浴び、
恋愛や仕事で自分の人生の主人公を演じているのに、
私は傍観しているだけで、時の流れの中で風化していくだけなのだ。
 いつかは自分にもチャンスがと行動もしたが、そんな努力など何の成果ももたらさず。
 時間と金を浪費するだけで屈辱と虚しさを得ただけだ。
 淡い期待に時は過ぎ去り残酷な終焉の鎌が、私の未来を刈るのを待っていただけだった。
 長年勤めてきた会社からリストラされたのだ。
 私のような独身は切りやすいのだろう。
 会社の業績は悪化してなかったはずだが、いとも簡単に私の人生は破壊された。
 スズメの涙のような退職金でありがたいと思えと言われた。
 このさき四十五歳の男にどんな仕事があるんだ。
 真面目にこつこつと生きてきたが、そんなことは何の評価にもならない。
 大した能力もないが、上司の気に入りの男は残った。
 仕事もいいかげんで、手を抜いていたが、上司の機嫌を取るのは上手かった。
 上司の機嫌をとるのも仕事だと言うなら、私の認識が間違っていたのだ。
 こんな会社ならもういいと最初は怒りにまかせ、リストラされてもまだ仕事はあると思っていた私の思惑はまったく外れた。
 職業安定所はどこも一杯の人であふれ、誰もが職を求めていた。
明日から自作小説毎日アップします。
よろしくお願いします。


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