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自作小説やアニメの評論
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 僕は安らぎを感じた。
 もう苦しむことがないんだと。
 明日のことを思い絶望することはない、僕と言う世間では不要な存在は消え、僕の意識からも世界は消滅する。
 苦しみばかりの世界で、生きていればなんとかなると言うのは嘘だ。
 誰も僕らの存在を許してはくれない。
 排除されるしかないゴミ。
 選ばれた者のコミニュティに入れない者は底辺のゴミとして打ち捨てられる。
 平凡な幸せなんかは遠い夢で、僕が手に入れられるのはこの先も絶望のままゴミとして生き、餓死するかホームレスとして路上で死ぬかだ。
 その決まった未来を今変えることが出来る。
 早く結末を迎えるということでだ。
 金が無ければ転職のために専門の勉強もできない。
 資格も取れない。
 何もない者はどうあがいても仕方ないのだ。

 僕は部屋を整理し決行の日を待った。
 連絡にいるだろうと奮発して、携帯電話を購入した。
 僕からすれば携帯代金0円でも契約などの金が大金だが、もう最後だしいいだろう。
 あとはまとまった休暇をアルバイト先に申し出た。
 辞めても良かったのだが、死んだあと何もないと言うのも悲しいなと思ったからだ。
 少しは職場の人に死んだことを知って欲しかったのかも知れない。
 いや、存在してたことを残しておきたかったのかも知れない。

■■■



樹海へ行こうの過去まとめ分です
ある男がまとめて読めます

 

 

 

 

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 常連以外は、それほど現実的な困窮は無かったのだろう、まだ生きれる可能性のあるものはいい。  

 チャットと掲示板のお知らせで、僕らのオフ会への参加日は決まった。  

 一応場所や連絡などは管理人を通しての限られたものだけとなった。  

 僕が知っているのはナーガさん、ソニアさんその他の人はまだ未定だそうだ。

 人は生きなければならないとは言うが、使い捨てられ、誰も拾ってくれない明日に生きる希望はあるだろうか?  

 実際生きて行く金や、つてがないのに、どうすればいいのだ。  

 幸福な人間はそれと気付かず。傲慢にも死ななければどうにでもなるとか、死ぬ気ならなんでもできると言うが、それは成功した事例であり、万人には当てはまらない。  

 だからここ何年も何万と言う自殺者が出てくるのだ。  

 希望のないものに、何の手も貸さず、口だけで生きることを強いるのは、ただの偽善でしかない。

 僕らは長く深く刻まれた絶望を、これ以上味わいたくないのだ。

 自分達だけは大丈夫と高見から覗いている者には決してわからない。

 傲慢に勝ち組と豪語する。彼らのその足下にも破滅は忍び寄っているかもしれないのだが、本当に理解するのは飲み込まれ破滅してのちだろう。

 

 

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 そのうち僕はだんだんサイトにはまっていき、PCの向こうの見えない人々がかけがえのない友人に思えた。
 仕事やプライベートな問題を誰もが親身になってくれ、批判する声はない。
 僕は淋しかったのだ。
 バイト先は年下か家庭の主婦ばかりで、共通の話題もなく、世界もちがう。
 こんな情けない僕の心情を吐露して馬鹿にされるのは忍びなかった。
 嘆きや哀しみをたた受け入れてくれる場所が欲しかったのだ。
 だがそれももう現実の僕を助けてくれるものではなかった。
「そろそろ、樹海へいきませんか、なんだかもう息苦しくて、オフ会もかねてってことで」
 同じ思いであったのか、ナーガさんがきっかけの発言を書き込んだ。
 僕はすぐさま賛同を書き込んだ。
「いいですね。僕も限界なんです」
「私もお願いします」
「イザ逝かん、樹海へ」
 他のメンバーも次々に申し込んで来た。
 だが、結局参加したのは常連組だけとなった。

 

 

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「まったく、甘い考えで頭が悪いから、こんなとこで、愚痴言って、同病相哀れみですな」
「死にたいと言うわりにまだ生きてんじゃん、死ぬ死ぬサギ」
「早く死ね、社会ゴミ」
「痛い人の掃き溜めですかーWWW、能力がない怠け者の貧乏人」
 現実に痛めつけられていないから、平気で悪意を書き込んでくる。
 僕らの心を殴り付ける。
 無視しても執拗に書き込みを繰り返す者は、管理人がなんとかしてくれたが、それでもやはり、二三日はここに来るのが恐くなる。
 でも、また行き場のない僕はここへ帰ってしまうのだ。
 僕にはもうここしか居場所がない。
 破滅は近づいているが、彼らがいることが今は支えになっている。
 僕らを甘いとあざ笑う連中がいるだろう、しかし、彼らは今は優位にいるからだ、いつ僕らのようになるかも知れないことに気がついていないのだ。

 

 

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「顔色悪いけど、大丈夫?」
 店の常連さんにも指定された。
 高橋さんは僕と同年代の女性で、派手な顔立ちをしているが、看護士をしているまじめな人だ。
「大丈夫ですよ。高橋さんこそ、夜勤続きで大変じゃないですか?」
 彼女は僕の体調の悪さもすぐに見抜けるのだろう。
 彼女の職業柄なのかもしれないが、女性に優しい言葉をかけてもらえるのは嬉しい。
「まあ慣れたわよ、それよりお勧めないかな?」
「今日はいい新刊がありますよ」
 僕の勤める書店は、若者向けの小説やエンターテイメントを多く取り扱っている。
 彼女とは好きな作者が共通するので、暇な時間帯に来店した時は、しばしば話すことがあった。
 僕はもう本を買う金はないし、今の状態では本を読む気にもなれない。
 案内などをチェックすればある程度の内容がわかる。
 この程度なら通常の対応ができる。
 心は煉獄から逃れられない、だが無理矢理笑顔を作ってみせることはできる。
「身体、、大事にしてね」
 高橋さんにそう言って貰うと少し心が、ほんわりとした。
 こんな生活力もない男に優しくしてくれる女の人はいないのだから。
「樹海へ行こう」のホームページに書き込むのは登録が必要なので、めったに部外者はこないのだが、たまに心ない侵入者がいる。
「負け組どうしが、どうやっても現状なんか、変えられないんだよ。早く樹海へ行けよ。おまえら、努力もしないからだめなんだよ。早く死ねよ」
 ひどい言葉が掲示板に書き込まれたり、チャットに乱入して来たりする。
 こう言う奴は無視するが、それでも言葉を読めば痛い。

 

 

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薬物依存になりかけです。
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