自作小説やアニメの評論
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
何の収穫もなくバスに乗り家路に着いた。
バス代もばかにならないが、しかし頼りといえばそこしかない。 ただ沈鬱な思いと、ひしひしとした絶望に抑えつけられながら、すぎて行く景色を見ていた。 通り過ぎる人々は皆、平穏な日常を営んでいるように見える。 私のような苦しみはあの人々には無縁なのだろうと思うと、絶望と羨望で胸が痛くなる。 あるバス停で、松葉杖の老婆が乗車しようとするのをみかねて、男が補助していた。 私も思わず駆け寄り老婆の手助けをしたのだが、他の乗客や運転手は知らぬふりだった。 「それじゃ、お願いします」 男は乗車せずに私に老婆をゆだねた。 彼の態度は礼儀正しく好感の持てる態度だったが爪は真っ黒く、背広も薄汚れた風で異臭を放っている。 その時彼がホームレスだと気がついた。 「ありがとうございます」 老婆はしきりに頭を下げ、席に腰掛けるとほっと息をついた。 「親切な人ですね」 ホームレスの行為に感動した私は、思わず老婆に話掛けた。 「いつもあの方に助けていただくんですよ」 老婆の話によると、バスが老婆に気づかずに、通りすぎることが幾度かったと言う。 バス停の近くの公園に寝泊まりしているホームレスの男がみかねて、老婆が来るとバスを停めて乗せてくれるそうだ。 「あの方は本当に親切なんです、なのに世間はどうなっているのか」 老婆はバスを待つ間に彼と話すらしい。 先ほどの男は、突然のリストラに合ったらしい。 会社に勤めてたころに、家を買ったそうだ。 安くててごろだからローンの返済も楽に思えたらしい。 だが、リストラされてからは仕事がなかった。 アルバイトや派遣もボーナスをあてにしていた返済計画のために、金が足りない。 家を売ったが二足三文でローンが残った。 生活していけなくて結局妻や子と別れ自己破産したのだ。 離婚すれば妻子は生活保護にかかれる。 バイトや派遣をしてなんとかローンを返済していたが、身体を壊して病院代がかさみ入院中に家賃が払えないために借家も撤去されていた。 住所もなく身体も癒えてない彼はホームレスとよぎなくされた。 こんなはずではなかったと誰もが思うだろう。 みんな幸せになろうと努力を続けて来た。 一部の人間と企業だけが景気がいいといいながらも、底辺の人間は切り捨てられ、 さらなる不況が人を殺していく。 PR ![]() ![]() |
カレンダー
プロフィール
HN:
トリカブト
性別:
非公開
趣味:
小説読むこと
自己紹介:
薬物依存になりかけです。
主に栄養ドリンクとか、 サプリメント
ブログ内検索
忍者アド
最新コメント
アクセス解析
最新トラックバック
アクセス解析
|