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自作小説やアニメの評論
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そのころ、主婦が株で大もうけしたとか、普通の何の知識さえない人が、容易く大きな金を儲けていた。
 いろんな本が書店にもならび、ブログやネットでもさも簡単かのように書いていたし、実際はじめて、
 大金ではないがこつこつと、金儲けができた。
 時給800円や900円と言う安い給金で働くよりはるかに効率がよく。
 僕もこれでやっていけるかもしれないと一縷の望みを抱いた。
 だが、世の中はそんなに甘くはない。
 いきなりアメリカ経済が軋みはじめ、サブプライム問題と言う、僕からすれば何の関係もないことで、日々株価は暴落し
 僕の貯金はあっという間に半分以下になった。
 もともと僅かの貯金が一瞬でなくなったのだ。
 僕はしばらくショックで立ち直れない日々を送った。
 だが、食べるためには働かなくてはならない。
 酒を飲んで紛らわせる金もない僕は、絶望という暗澹たる気分を味わい。
 眠れない日々が続いた。
 幸い家賃は調子の良かった時にまとめて払ったので、しばらくは暮らせるが、そのあとは野宿だろうか。
 自業自得と人は言うだろうが、他にどうすれば良かったのか。
 成功すれば努力は認められるが、成功しなければバカよばわりでしかない。
 僕は賭けにまけたのだ。
 そう自覚すると、少しだが、、もうあとは死ぬだけなんだろうなと漠然と思った。
 死ぬのが怖い?そんなことはない。
 絶望の中で痛めつけられる方が怖かった。
 いい年の男がどんなことをしても食べていける。
 簡単に人は言うが、コネのスキルもない僕には雇ってくれる場所がない。
 雇ってもらっても明日の保証はないのだ。
 そんな人生にどんな展望があるのだろう?
 生きていく意味があるのだろうか。
 僕は自分の苦痛を少しでも軽くできないかと、インターネットの情報の海の中を捜し始めた。

 

 

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だが、時代は良くても僕のようにまともにスキルのない、年齢の高い男にまともな職場は無かった。
 何故スキルを磨かないないかと責められても、日々の仕事に満足していたし。
 販売の資格などは取っても意味がなかったようだ。
 預金も少ないし、安定した仕事もない。
 僕には明日が見えないでいる。
「そこで投資じゃないか、ネットの引きこもりや学生が三億稼ぐ時代なんだから、おまえも少しやってみたらどうだ」
 彼はそんな夢のような話を語り始めた。
 主婦やただのフリーターがなんの学問もなくても、こつさえつかめば大金を手にできる。
 インターネットと言う未知の世界は僕にも可能性を示してくれると言う。
「また、いろいろ教えてくれ」
 だが、僕はまだそんな夢の話を信じることは出来なかった。
 書店時代の同僚はなんとか道を見つけたと言うのに、僕には道がない。
 このままで僕はどうなるんだろうか、考えると不安で眠れない日々が続いた。
 急場しのしのぎで本屋のアルバイトに応募した。
 安い給料だったが、なんとか貯金と合わせると食べることはできるだろう。
 もう一つ仕事をもたなければならないが、もっとちゃんとした仕事に着きたいので、そこは活動のために我慢した。
 この仕事は安く雇用保険に入れたくないために、契約時間を制限していた。
 残業はあっても手取り10万では家賃と光熱費にしかならない。
 それに国民年金や健康保険が僕の足かせとなった。
 普通の正社員や親元にいるものならなんともないだろうが、収入の四分の一を取られては生活がなりたたない。
 いつかは払えない日がくるなら、止めてしまった方がいいのではと言う思いもあった。
 それに、生活保護の方が年金より高いのだ、今は払うことなく生活保護にたよるしかないだろう。
 僕は鈴木の言うパソコンを入手しインターネットで世界がたとえもなく不条理なのを知った。
 まじめに働いても、この先企業は正社員を雇う気などさらさらないのだと言うことも理解した。
 生き延びるためには何でもしろと人は言うが、それが人生なら生きる意味はあるんだろうか?
 戦時下なら理解できる。
 しかし、今は平和で物が溢れて安全な世界だ。
 ただ金がないからそれを眺めることしかできないが。
 僕は書店や噂で知った知識から、株と言うものに可能性を感じた。

 

 

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 松田はため息をついた。
「以前のように安定していない。あっと言う間に企業が育ち潰れていくんだ。大手の企業といっても安心できないよ」
 なるほどと思った。
 毎日のように中小企業が倒産し、大企業が合併再編している。
 絶対に安心な明日はないのだ。
「だから少しでも増やすために資産投資をしているんだ」
「投資?」
「株や先物とかを少し:
 松田の話は驚くべきものだった。
 それと共に自分は何も知らないのだと実感した。
 松田はインターネットで、株式投資と先物とあとは不動産をやっているし、将来ののために、保険も入っている。
 子供は親に預け奥さんも働いて、目標金額をためているということだ。
「老後のことを考えると、厚生年金なんか夫婦で三十万あればいいとこだし、国民年金なんかじゃ十四万だ。そこから生活費や老人になれば病院代もかかるだろうし、問題は定年が六十として、年金の貰えない五年間は最悪生活に二十万かかるから最低四千万は貯めないとな」
「すごいな、もう定年のことまで考えてるのか」
「俺も会社が倒産するまではのんびり考えていたけど、でも無くなって初めて、自分はこんなにももろい土台にいたことに気がついたって訳だだから、いろいろ考えたよ」
 僕は愕然とした。
 目先の生活や日々を過ごすことに精一杯で、将来のことなど考える余裕もなかった。
 いつかまた景気が回復し、貧しくとも就職できるだろうと言う幻想に支えられていたからだ。
 

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同時期に入った者はすぐに慣れたようだが、僕は年齢もいってるし、経験もないのでなかなか慣れず。
 何をやっても巧くいかずに、ケアレスミスが増えていく。
 主任が言う個数目標などまったく無理だった。
 嫌みを言われ、派遣の担当が僕には向いてないと契約を切られた。
 自分でも分かってはいたことだが、こんなことも出来ない自分に絶望を感じた。
 自分で思っていたよりも僕は出来ない虫けらな人間なのだ。
 絶望を感じ、その夜は泣き明かした。
「元気か今度飲みに行かないか?」
 そんな時本屋時代の同期から電話をもらったので、たまには気晴らしもいいかと思い、飲みに行った。
「久しぶりだな、どうしている」
 同じ年に同期で入った松田は同期と言っても、国立の大学出で研修期間が終わったあと、本社採用になった。
 そのあとも本社の窓口業務となったので、接触があり、たびたび飲みに行った。
「あの時は大変だったな、もう俺は人生終わりかと思ったよ」
「僕もだよ、今はどうしてるんだ」
「今は趣味でやってたインターネットの趣味仲間に誘われて、コンテツの会社に就職したんだけど、なんだかあれよあれよってうちに、まあ食べれる企業になってさ、助かってるよ。おまえは?」
 名前を聞くと今躍進中の有名企業だった。
「すごいな、、、僕は派遣で、やっと食ってる」
 やはり国立の大学出は高校とは違うのだ。
 僕は惨めな思いを隠しきれずそう言っていた。
「そんなことないぜ、俺だってここで一生やっていける確信はないからな」
「だけど、大手じゃないか」
「世界は変動してるよ、大手の会社だっていつ潰れるか、安全なのは公務員くらいじゃないかな」
 

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閉ざされたシャッター。
 冷たく倒産のお詫びと書かれた文章。
 債権者が押し寄せるのを防いでいるのだろうが、僕らの荷物だってロッカーにあるのだ。
 もどかしい思いでいっぱいだった。
 こうして、自分の生涯の仕事がなんの覚悟もないまま、あっけなく失われた。
 だが事態はさらに深刻になり、経営者は給料や退職金さえ払う気がないと言うのが分かった。
 労働組合や弁護士が駆け回り、一時金が出たが少ない金額だった。
 オーナー一族は資金を巧く隠し、逃げ回ったらしい。
 怒りより情けなくなった。
 あれほど愛した会社の経営者は会社も社員も愛してはいなかった。
 会社のオーナーは社員などどうでもいい存在だったと言うことに深く傷ついた。
 生活に余裕があるわけではないので職を捜したが、三十過ぎた男、、特別なスキルもない男に世間の風は冷たい。
 毎日足を棒にして何件も面接に行ったが、高校出であることや、なんの技術もないことを揶揄され、冷笑された。
 正確に数えてはないが、五十社は超えただろう。
 疲れはて資金も少ないので、安易だが派遣へと申し込んだ。
 派遣での仕事は思う他厳しかった。
 派遣会社は初心者でも出来て高給と言うことだったが、即戦力を期待されたが、経験がないので分からないずくめだ。
 派遣は即戦力だと宣伝し、会社はそう思い使うと出来が悪い。
 このギャップは埋められないものだった。
 派遣に高い金を払う会社は完璧を求めてくるし、社員は見下して冷たい対応をする。
 その上、高給と言う話はいろんなものが差し引かれ、たいした額にはならなかった。
 だんだんと疲れた僕の生産性は落ち結局は契約を切られた。
 僕はラインには向いてないのだ。
 

 

 

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薬物依存になりかけです。
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