自作小説やアニメの評論
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 僕の勤めていた書店は、全国に十数店舗を展開する中堅の有名書店だった。
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負け組と呼ばれる僕らは、生きてはいけないのだろうか?
家庭や子供を持ち、将来に希望を持つ権利はないのだろうか?
希望など持たず。
夢など持たず。
世界は平和で明日も明後日も、まじめに生きていれば少しずつ良くなると、信じて来た。
その世界は崩壊していく。
ぎりぎりその日を生きて、使い物にならなければ破棄されてしまう。
日本には最低限の生活を保証する法律があるが、それでもまた口利きや、権力の構図の中で、容易に享受できる者と、受けられない者がいる。
平等なんかない。
汚職しても復帰する政治家。
企業の失策で犠牲者を出しても償うことなく、大金を持ち退職するトップ。
国民の税金で無駄な建物を建て、巨額の損失をだしても平然とし、法外な退職金を手にする官僚達。 金と権力さえあれば、罪は問われない。
そんな力のない者は虫けらと言うのだろうか
空は抜けるように青く、人々は希望に満ちた表情で往来を闊歩する。
都会の朝はそんなものだ。
以前は僕もその群の中の一人であり、それを何の不思議もなく享受していた。
明日はまた繰り返しの平凡な日々とこぼしていたかもしれない。
その平凡こそ今は望むべくもないものになるとは知らずに。
明るい光景とは無縁の者達の中の一人となることと思わずに。
ファーストフードと言うのは、この世で貧乏人にはいいシステムである。
100円のコーヒー一杯で長い間居座れるのだ。
100円も惜しいが、居場所のない者にはありがたい。
そんなファーストフードに暗い表情の者達が、壁際の一人席に掛け、ガラスの向こう側に広がる世界をただ眺めている。
男が四人と女が二人、互いにしゃべることもなく、一人掛けの席に掛け、押し黙っているのだ。
店の者にすればこの陰気な集団なのか何か分からない者達に立ち去って欲しいだろうが、彼らにはそんなことは出来ない。
いき場所などないから、今ここにいるのだから。
何故そんな事情が分かるかというと、僕がその中の一人だからだ。
男や女は年齢や服装もばら
ばらで、親しげですらない。
何の集まりか、いや集まりであるかさえも余人には分からないだろう。
それもその筈、彼らは今日初めて顔を合わせたのだから。
「樹海へ行こう」と言う自殺志願者の集まるサイトのオフ会なのだ。
「樹海へ行こう」と言うのはその通り、希望を未来に持てず、いつの間にか無価値になった自分の人生にケリをつけたい人々の集まりだ。
最近は集団自殺を防ぐために、こう言うページは警察に監視されていると聞くが、ここは管理人が上手いのか、それほど過激でないからなのか、今日ここでオフ会を開くまで持てた。
今日集まったのは主に深夜にやりとりしてるグループで、全員が集まったわけではない。
オフ会即樹海へと行くかもしれない真剣な集まりだからだ。
だからなのか、先ほどから各人の口は重く、ネットでのあの雰囲気などない。
初対面と言うこともあるし、人生を終わらせる相談をするのはしにくい。
女性達はぽつぽつと話初めているようだ。
何かを提案しなければと思う反面、あとから来た僕に発言はしにくい。
そしてまた、、心に思うことが僕の口を重くしているのだ。
どうしてぼくらは、、虫けらのように死ななければならないのかと
こんな人間を許す世の中で、いいのだろうか?
私は何故だかこれが私の使命のように感じた。 この間違いを糾すことがやるべきことなのだと。 わけのわからない義憤が脳を支配する。 昔買って使わなかったナイフを引き出しの奥から出した。 そっと握るとずしりと重い。 刃は鋭い光を放っている、 これで世間の矛盾に思い知らせるのだ。 私がこの腐った世界に一石を投じなければならない。 何もない人生に意味を持たすのだ、 親父狩りをする少年達を見つけ、彼らを叩きのめす、、否刺し殺す。 また私が殺される可能性もある。 私が殺された場合でも意義があったということを知らせるため、胸のポケットに決意書を書いていれた。 私は獣を追う猟師のような気分で家を後にした。 風が冷たい。 ポケットのナイフが重い、その重みが私に力をくれるようだ。 映画の中にでもいるような、なにか晴れがましい気分で私は日の暮れかけた繁華街やその付近を彷徨いはじめた/ 何度か髪の毛を染めた派手な少年達を見たが、彼らは集まってはばらばらになり何処かへ消えていく。 何の事件もなく世が更けて、ついに駅前通りの店も全て閉まった。 寒々とした夜の空間には私だけが佇んでいた。 深夜になっても少年達の姿はなかった。 あったとしても、コンビニで買い物をするだけで立ち去っていく。 意気込んだ思いが風船のようにしぼんでいく。 風が身にしみた。 途端に自分のしていることが、あまりにばかばかしく思えた。 結局、私のすることはこの程度なのだろう。 手の中のナイフを握りながら暗い道をとぼとぼと家路に向かった。 夢がさめ滑稽な自分があまりにもみじめに思えた。 古ぼけた団地が我が家が見えてきた。 壁にはヒビがが入り、ところどころ廊下の電気が切れている。 エレベーターの前に、私は母の姿を見つけた。 私の帰りが遅いのを心配し、ずっと待っていたのだろう。 カーデガンを羽織る小さな肩が震えている。 「母さん」 「どこ行ってたの?心配するじゃない」 私はこの時気がついた。 私は独りではない、母がいるのだと。 こうして待ってくれている母を最後まで看取ってやらなければならないのだ。 私は自分よりはるかに小さくなった母の肩に手を添え、家にかえろうと言った。
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